ここではないどこかから

ここどこ。フランス田舎町暮らしの中で想うこと、育児・食べること日常のこと、もっとほんわりした括りの雑感を綴りたい。

廃校アート体験 ~その2~

近くの廃校でのコンテンポラリーアートの展示の続き。

 tkchbn.hatenablog.com

 こちらの展示会場では、アーティストの女性(おそらく30代後半くらい)が住み込んで随時展示を増殖させたり、配置を変えたりと、何回来ても違った展示になるように工夫がされている。そして、ここは住民たちが集い語らい、食事をしたり、時には家にある物を持ち寄って展示品に加えてもらったり、ワークショップが開かれたりと、常に流動的にこの地に存在している。

ある週末にメインの展示である黒焦げたピアノのコンサートがあるというので、家族で参加した。普段は展示品なので手を触れることはできない。演奏するのは私たちの友人の一人。そして夫もトランペットで参加しないかと誘われていたのだ。

演奏はまったくの即興。黒焦げたピアノの鍵盤は動かないものもあるので、中の部分(なんと呼ぶのだろう・・?)を直接棒で叩いたり、紐でくくって引っ張ったり。部屋を暗転にして、演奏が始まる。子供たちは暗くなっただけで、目を輝かせて音に耳を澄ませてその空間を楽しんでいた。

友人の演奏はものの5分で終わり、その後は自由にその場に居合わせた人たちで演奏を楽しんだ。3歳の息子と同じ歳の友人も、黒焦げのピアノを手を真っ黒にして触り音を出す。10歳の娘はトランペットで恐る恐る音を乗せてみる。夫はドラムのようにピアノを叩く。マラカスを振ってリズムを取る人。

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みんなで暗がりの中、黒いピアノを囲んで、息をのむように、音を作り上げていく。この即興タイムも長くは続かず、夫はもっと演奏したいと残念がっていたが、その場にいた人たちと共有し作り上げた音楽は今でも耳に残っている。この出来事はずっと私の中に残るだろう。この廃校を訪れる度に思い出すんだろう。

今日は雪が降っている。ここではないどこかに来てもう1年経つ。